ITエンジニアに関連する資格は多数ありますが、未経験の学生や経験・知識の少ない新卒社員の方はどの資格を取れば良いの?と迷うと思います。
本記事では現役ITエンジニアの視点からおすすめすの資格をご紹介します。
前提や目的によっておすすめは変わるので、ここではプログラムやシステム設計を行うソフトウェアエンジニアを前提とし、業務に必要な知識を得ることを目的とします。
ちなみに、なまむぎは以下の資格を保有しています。
・応用情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント
・ネットワークスペシャリスト試験
・PMP
・AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト
情報処理技術者とITベンダー資格はどっちがおすすめ?
まずは情報処理技術者試験をおすすめします。ITベンダー試験は特定の製品やサービスに関連するスキルに特化しているのに対して、情報処理技術者試験はITエンジニアに必要な知識を幅広くカバーしています。実務で直接役立つ知識かどうかは別として、広範な用語や基礎知識を学ぶためには良い試験だと思います。
情報処理技術者試験は、広く薄く知識を問う内容で、抽象的な設問も多いため、実務にすぐに役立つものは少ないです。しかし、未経験者や初心者の方はまず「何を勉強すれば良いのか?」すら分からないと思います。そのため、まずは試験を通じてどういった知識が必要になるのかを知り、その後、興味のある分野や業務に関係のある分野を深堀りして学習するのがおすすめです。
情報処理技術者試験でおすすめの資格
情報処理技術者試験の評価
情報処理技術者試験の評価です。評価は以下の4段階で行いました。
◎:とてもおすすめ!まずはこれから。
○:おすすめ。
△:興味があれば。
✕:おすすめできない。将来的にも不要。
試験区分 | 評価 | コメント |
---|---|---|
ITパスポート | ✕ | 一般職・営業職向けの試験であり、エンジニア向けとしては簡単すぎる内容なのであまり意味がありません。 |
情報セキュリティマネジメント | △ | 基本的に知っておいた方が良い内容ですが、開発スキルよりは運用などで必要な知識です。 |
基本情報技術者試験 | △ | 設問の抽象度が高く、必要な知識も中途半端なレベルなので学んだ内容が無駄になりやすく、業務に活かしづらいです。 |
応用情報技術者試験 | ◎ | ITエンジニアに必要な幅広い知識を学べます。基本情報技術者試験と比較すると、より具体的な内容で業務にも活かしやすいです。 |
ITストラテジスト試験 | ✕ | コンサルなどを想定した試験なので初心者には不要です。また、こういった業務を行う人は、そもそも試験で必要な知識を持っている前提で、その上で答えのない課題に対して対応する業務なので、試験自体はあまり意味がありません |
システムアーキテクト試験 | △ | 上流工程をやる上では勉強しておいた方が良い内容ですが、勉強や経験を積んでからで良いと思います。 |
プロジェクトマネージャ試験 | △ | プロジェクトマネジメントに関する基礎知識や用語を学ぶには良いと思います。費用は高いですが同様の資格でPMPがあります。PMPは国際資格でより実践的なのでプロジェクトマネージャ試験よりおすすめです。 |
ネットワークスペシャリスト試験 | ◎ | ネットワークエンジニアよりの内容ですが、現在のシステム開発やアプリ開発ではネットワークにつなぐ事がほとんどであり、ネットワークの知識は幅広く役立ちます。TCP/IPやHTTPの仕組みなどパッとは業務に役立ちませんがトラブルシューティング時などには役立つことが多いです。 |
データベーススペシャリスト試験 | △ | ネットワークと同様、データベースも多くの場面で利用されます。ただ、データベースに関しては概念だけでは役に立たないことも多く、製品知識が必要になってくる事が多いので、この分野に関してはOracleやMicrosoftなどのITベンダー系の試験がおすすめです。 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | ○ | 組み込み、制御系開発の知識を得たいというのが前提ですが、その場合はおすすめです。この分野は情報も少ないのでこの試験を道しるべに深堀りしていくと良いと思います。 |
ITサービスマネージャ試験 | ✕ | システムの運用保守向けの試験なのでソフトウェアエンジニアには不要な知識が多い。 |
システム監査技術者試験 | △ | システム監査向けの試験では、「ITサービスマネージャ」と同様にソフトウェアエンジニアには不要な知識が多いです。ただし、セキュリティや監査といった知識は近年ますます重要度が増してきており、システム開発の上流設計でも考慮すべき要素となっているので知識は役立つ部分もあります。 |
就活生や新卒社員にスペシャリスト系の資格をおすすめする理由
理由①:業務に必要な最低限の知識
「ネットワークスペシャリスト」などのスペシャリスト系の資格は上位レベルに位置づけられており、試験内容も当然「基本情報技術者」などより難しくなっています。ただし、ITエンジニアとして一人前に仕事をする上では必要な最低限の知識であり、今後の業務で活躍するためにはいずれ必要になるため、どうせなら早く知識を取得したほうが良いと考えています。
理由②:知識を得ることが重要
上位の試験に受かるのは難しいかも知れませんが、資格を取ることが目的ではなく、知識を得ることが重要なので上位の資格を目指して学習するほうが得られるものが多いと思います。
また、上を目指すことで全部が理解できなくても『理解出来ていない事』が明確になるので、それだけでもメリットがあります。
理由③:まとまった勉強時間を確保しやすい
上位レベルの資格は難しいとされていますが、きちんと勉強すればそれほど難しいものではありません。大学受験の方がよっぽど大変だと思います。内容の難しさよりも、社会人になってから時間が経つと業務の幅も広がり、まとまった勉強時間を確保することも難しくなります。そういった面でも学生の間や新人のうちにまとまった勉強をして一気に知識をつけることをおすすめします。
理由④:知識・資格のリターンが大きい
試験勉強で得られた知識や資格の価値は、就活生や新入社員にとっては非常に高いです。基本的には皆同じスタートラインに立っているので、少しの努力で差をつけることが可能です。
また、学習への取り組み自体も評価されると思います。 しかし、例えば10年以上ITエンジニアとして働いていると、資格が取得出来るレベルの知識を持っていることは当たり前になるので、10年後に資格を取得してもあまり評価はされません。資格の価値は年々下がっていくものと認識してください。
以上