モノリシック vs マイクロサービス

システム開発全般

モノリシックアーキテクチャとマイクロサービスアーキテクチャとは?

システムのアーキテクチャには、「モノリシック」と「マイクロサービス」という二つの対照的な設計スタイルがあります。モノリシックアーキテクチャは、単一のコードベースで複数のビジネス機能を実行するのに対し、マイクロサービスアーキテクチャは、各ビジネス機能を小さな独立したサービスとして分割する設計スタイルです。

これらのどちらが優れているというわけではなく、それぞれの特性があるため、ビジネス要件や開発者のスキルに応じて使い分けることが重要です。また、システム全体を統一しなければならないわけではありません。大きなシステムでは、サブシステム単位でモノリシックとマイクロサービスのアーキテクチャを適用することも考えられます。本記事ではそれぞれの特徴を説明します。

モノリシックアーキテクチャの特徴

モノリシックアーキテクチャは、単一のコードベースで構成されるアーキテクチャスタイルです。具体的なイメージがわかりにくいかもしれませんが、例えば、1つの実行ファイルで構成されるアプリケーションや、Apache TomcatやJBoss EAPを利用した一般的なWebサーバ+Java EEサーバ+DBサーバで構成されるシステムなどが該当します。

モノリシックアーキテクチャのメリットとデメリット

メリット

シンプルな構造:開発初期はシンプルな構造のため理解しやすく、初期開発コストも少ない。
容易なデプロイ:単一のアプリケーションであるためデプロイが比較的簡単。
容易なデバッグ:1つのコードベースなのでトレースが容易でデバッグがしやすい。
パフォーマンス:プロセスやメモリを共有できるため、比較的高いパフォーマンスが期待できる。

デメリット

保守性:機能追加や時間の経過と共にコードが複雑になり、開発コストが増加する。
拡張性:特定の機能のみをスケールすることができず、全体をスケールする必要があるため拡張性が低い。
デプロイの影響:特定の機能を修正する場合でも、全体を再デプロイする必要がある。

以上のことから、モノリシックアーキテクチャは開発初期段階や高パフォーマンスが求められる場面では有効です。しかし、大規模なシステムや長期的な運用では、コードの複雑化やスケーラビリティの問題が発生する可能性があります。

マイクロサービスアーキテクチャの特徴

マイクロサービスアーキテクチャは、複数の独立したサービスが疎結合で連携し、アプリケーション全体を構成するアプローチです。各サービスはREST APIやメッセージングなどの手段で連携します。具体的な例としては、決済サービス、在庫管理サービス、顧客管理サービスなどが連携して機能を実現するECサイトが挙げられます。

マイクロサービスアーキテクチャのメリットとデメリット

メリット

拡張性:特定の機能のみをスケールすることが可能であり、柔軟性が高い。
保守性:各サービスのコードが独立しているため、時間の経過や機能追加によってコードの複雑化が起こりにくい。コード修正時の影響範囲を局所化できる。
デプロイの影響:サービス単位でデプロイ可能であるため、影響範囲を局所化できる。
開発の柔軟性:サービス毎に異なるプログラミング言語や技術を利用できる。

デメリット

初期コスト:インタフェース設計やインフラ構築などで初期段階のコストが増加しやすい。
デバッグの複雑さ:トレースが行いにくく、環境構築が複雑なためデバッグが難しい。
パフォーマンス:サービス間通信のオーバーヘッドやメモリ共有ができないため、パフォーマンスが低下する恐れがある。
複雑な運用管理:複数の独立したサービスのデプロイを管理するためにCI/CDパイプラインが複雑になりやすい。

以上のことから、マイクロサービスアーキテクチャは大規模なシステムや長期的な運用には多くの利点があります。しかし、開発初期の設計に時間がかかることやインフラ構築が複雑になる傾向があるため、小規模なシステムやリリースまでのスピードが重要なシステムには不向きなことが多いです。

以上

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